先輩から受け継いだ“FASTNER.らしさ”― 世代を超えてつながる価値観
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- 2025年10月29日
- 読了時間: 5分
更新日:2025年11月3日

雑誌のページをめくると、そこには京都の日常が映し出されている。
観光地ではなく、学生たちの目線で切り取られたまちの風景――。
FASTNER.マガジンは、そんな日常を10年以上にわたって記録し続けてきた学生フリーマガジンだ。
その根底には、言葉にできない“FASTNER.らしさ”がある。
そして、それを紙という「形」に閉じ込めて届け続けることこそが、この団体の文化を守ることでもある。
ー 団体プロフィール
団体名: FASTNER.
活動分野: フリーマガジン制作、地域文化発信
創設年: 2011年
メンバー数: 約20名(複数大学から参加)
所属大学例: 京都産業大学、同志社大学、京都芸術大学、嵯峨美術大学など
活動場所: 京都市内を中心に取材・発行
ー 始まりと原点
「最初はファッションスナップを撮ることから始まったんです。」
2011年、FASTNER.マガジンは当時のフリーペーパー文化の流れの中で誕生した。
活動初期は、まちを歩く人々を撮影し、その姿を雑誌に掲載する“ファッションスナップ”が中心だった。
団体名「FASTNER.」には、創設当初から変わらない想いが込められている。
ひとつは、英語で「留め具」を意味する“FASTENER”。
学生たちの目に映る京都の日常を、まるで留め具でつなぎとめるように、一冊の雑誌に紡いできた。
もうひとつは、“FAST”。
時代とともに変化する京都の「今」を、常に新鮮な視点で切り取り、読者に届ける。
その二つを合わせた「FASTNER.」という名前には、
変わらない価値観を大切にしながら、常に新しい挑戦を続ける彼らの姿勢が表れている。
ー 先輩から受け継ぐ“らしさ”
FASTNER.マガジンの編集には、代々受け継がれてきた文化がある。
それは決して「こうすべき」と言語化されるものではない。マニュアルもなければ、明文化されたルールブックもない。
「『FASTNER.らしさ』って、あえて言葉にしないんですよね。」
新しく入ったメンバーは、先輩と一緒に編集作業をし、取材に出かけ、議論を重ねる中で少しずつそれを感じ取っていく。先輩から後輩へと自然に伝わるその感覚が、団体をつなぐ目に見えない糸になっている。
この“らしさ”は、団体を統率するための規範ではない。
むしろ、多様な個性を受け止めながらも、不思議とひとつにまとまるための土台だ。
だから、代が変わっても雑誌には一貫した雰囲気があり続ける。
「雑誌を見て、自分が汲み取った思いや価値観が“らしさ”なんです。」
ー 紙という「形」に込める想い

FASTNER.マガジンが大切にしているのは、紙で雑誌をつくること。
デジタル全盛の時代でも、彼らはあえて紙を選び続けている。
「デジタルだと、情報はすぐに流れてしまう。でも紙なら、手に取って残しておける。
卒業しても形として残るんです。」
ページをめくる音、紙の手触り、インクの匂い――
そのすべてが読者の記憶に残る体験になる。
FASTNER.らしさは、言葉で説明するものではない。実際に手に取り、触れることで初めて伝わるものだ。だからこそ、紙という「形」で届けることに意味がある。
「雑誌が完成して手渡される瞬間が一番うれしい」
とメンバーは口を揃える。
それは、自分たちの想いが言葉を超えて「形」になった証だからだ。
ー 活動を支えるつながりと挑戦

「活動場所はどこで?」と尋ねると、寺谷さんは笑顔で答えてくれた。
「キャンパスプラザ京都内の『学生PLACE+』のスペースを使わせてもらっています。Wi-Fiもあって作業しやすいんです。」
雑誌制作の合間には、企画の打ち合わせや原稿チェック、デザインの最終調整など、さまざまな作業が行われる。
学生PLACE+は、そうした日常の活動を支える拠点となっている。
さらに最近では、京都市と大学コンソーシアム京都が募集する「学まちコラボ事業(トライアル枠)」の支援金を活用することで、新たな挑戦にも踏み出している。
「学生団体の支援制度を活用し、雑誌づくりにより集中できる環境ができました。
それが、今までにない表現にもつながっていると思います。」
FASTNER.マガジンは、地域との関わりや人とのつながりを通じて得た経験や支援を糧に、次の一歩を踏み出している。
ー 世代を超えて続く文化

活動は決して順風満帆ではなかった。
コロナ禍では取材が難しくなり、メンバーが減少する時期もあった。
それでも活動が途絶えなかったのは、「続けていきたい」という強い気持ちが世代を超えて受け継がれてきたからだ。
「途絶えさせちゃいけないという想いがあったんです。」
OB・OGが卒業後も関わり続けるのも、この団体ならではの特徴だ。
先輩たちが作り上げた文化が、後輩たちの活動を支え、さらにその先の世代へと静かに受け継がれていく。
ー 言葉にならない価値を、形で伝える
FASTNER.らしさは、言葉で定義できない。
それは活動の中で自然と感じ取るものであり、外から説明することはできない。
だからこそ、FASTNER.マガジンは紙にこだわる。
雑誌を手に取った瞬間に、言葉では語り尽くせない感覚が伝わるのだ。
ページをめくる指先の感覚が、言葉以上のものを伝えてくれる。
「この冊子には、自分たちの想いとこれまで積み重ねてきた時間が重なっています。」
ー 読者へのメッセージ

「FASTNER.マガジンは、いろんな大学の学生が集まって、半年かけてひとつの雑誌をつくる居場所です。そこには、学生たちの想いや価値観が凝縮されています。読んで何かを感じていただけたらうれしいです。
そしてもしよければ、仲間になってもらえたら嬉しいです。」
ー 編集後記
取材を終えて強く感じたのは、FASTNER.が紡ぐ価値は決して言葉だけでは語り尽くせないということ。
それは、雑誌という「形」に触れたとき、初めて伝わる感覚だ。
FASTNER.マガジンは、先輩から後輩へ、そして地域の人々へとその想いを静かに手渡していく。
ページを重ねるように、世代を超えて続いていくその営みが、京都の学生文化を紡いでいくのだろう。
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【FASTNER.マガジン】
話し手:
FASTNER.マガジン編集部 編集長 寺谷さん
聞き手:
学生PLACE+事務局(三木・野見山)

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